スマホやSNSの普及やビジネスのDX化の時代の変化にともなって、マーケティングの分野も年々デジタルマーケティングの予算が拡大しています。
その結果として、転職市場だけでなく、フリーランスのマーケターのニーズも増加し、デジタルマーケティングの案件も増えてきました。
いま会社員でマーケターであれば、「フリーランスになっても仕事はあるのか?」「フリーランスの場合はどんなスキルが必要なのか?」というのは気になる点だと思います。
また、すでにフリーランスとして独立しているマーケターにとっても、フリーランスのマーケターに対するニーズの変化は常にキャッチしておきたい情報です。
そこで、今回は、フリーランスに求められることの多い、マーケティング案件の仕事内容を分野別に紹介していきます。フリーランス案件の探し方についても、それぞれメリットとデメリットを解説しますので、参考にしてみてください。
そもそもマーケティングの仕事は、企業の業種やビジネスモデルによって、マーケティング部門が担当する領域も、求められるスキルも異なります。実際に得意分野のマーケティング案件と出会うことが難しいケースもあったりします。
BtoCとBtoB、また担当する領域に分けて解説します。
BtoCマーケティングのフリーランスの仕事
BtoCマーケティングは、個人消費者を対象としたマーケティングですが、大きく2つに分けるとしたら、EC系のマーケティング(小売業)と非EC系のマーケティング(会員登録、サービス利用など)に分かれます。
EC系のマーケティングは、社内の商品企画の部門が兼務しているケースや、ショッピングモールや広告代理店が支援しているケースが多いため、フリーランス案件としては、非EC系のほうが案件数が高くなっています。
広告運用
広告運用は、企業のウェブ広告などを運用するのが主な仕事内容です。
具体的にはリスティング広告やディスプレイ広告などのウェブ広告を運用し、企業の利益につなげるよう業務を行います。
ITに関する基礎知識に加え、ウェブ広告・マーケティングに関する専門的な知識・スキルも必須です。
広告代理店と同様に、広告運用を依頼されるケースもあれば、広告代理店の広告運用に対してのチェックや指示の役割を求められるケースもあります。
下記のような複数の広告を組み合わせて、広告運用することで、予算内で成果を出すことが求められます。
リスティング広告運用
GoogleやYahooの検索結果に表示される広告です。目的が明確な商材(「睡眠不足 枕」などの検索)や知名度がある商材(商品名での検索)向けの広告です。
ディスプレイ広告運用(Google、Yahoo、YouTubeなど)
ニュースサイトやマンガアプリなどで表示される広告です
特定の年齢や趣味嗜好をもつユーザーに広く認知してもらうために使用することが多いです。
また、一度サイトに訪問したユーザーに広告を表示するリターゲティングを利用することもあります。
アフィリエイト広告運用
リスティングやディスプレイ広告は、クリック時に広告費がかかりますが、アフィリエイトは成果に対してのみ広告費がかかります
そのため、通販サイトやスクールの資料請求などで使用されることが多いです。
UX改善、CVR改善、LPO、EFO、Google Analytic分析
Webサイトのユーザーのアクセスデータを分析して、申し込み率を改善したり、ユーザーの離脱率を改善したりする仕事です。
Google AnalyticやAdobe AnalyticといったWebアナリティクスツールを活用して分析するスキルはもちろんのこと、UX、UIといったユーザー体験、ユーザビリティについての知見も求められます。
成果の実現に関する数値であるCVRの改善を依頼される案件もあります。
LPO
広告の着地用のページとしてのLP(ランディングページ)を改善して最適化することをLPOといいます。
LPの情報設計や視認性や操作性の改善によって、CPA(成約コスト)の改善をします。
EFO
申込に必要な情報を入力すエントリーフォームの改善をして、最適化するのがEFOです。
ユーザーがどの項目で入力ミスが多いのか、どの項目で離脱しているのか、などを調べて、スムーズに申込完了に到達できるように改善します。
SEO対策
コンテンツSEO
読み物系の記事コンテンツによって、多様な組み合わせのキーワード群を狙うSEOのことで、コンテンツSEOと呼ばれています。
全般的にノウハウ系の記事が多いです。
記事を制作するのは、社内外のライターや制作会社に依頼することもありますが、マーケターとしては、検索意図に対してどのような記事をどんな構成で作成するのかの指示だしや、記事を計画的に公開し、効果検証していくことが役割になります。
テクニカルSEO
内部リンク構造やページのスピード表示など、文章よりは、Webサイトの技術面のSEOのことは、テクニカルSEOと呼ばれています。
LCPやCLSなど近年重要度が上がっている指標もあるため、常にGoogleのアルゴリズムについての動向を知っておく必要があります。
SNSマーケター
SNSマーケターはTwitterやInstagramなどのSNSに特化してマーケティングを行う職種です。マーケターではなく、SNS担当の広報担当として募集されていることもあります。
仕事内容は幅広く、クライアントのSNSアカウントの運用方針の決定から、企画、コンテンツ制作、運用代行まで、SNSを通したプロモーションやファン層の拡大に関連する全ての業務が関係してきます。
また、SNSの反応を分析し、どのようなコンテンツが有効か戦略を検討し、クライアントに提案していくのもSNSマーケターの重要な仕事です。
SNSのトレンドの理解、ライティングスキル、PRやコンプライアンスに関する知識などが求められます。
データサイエンティスト、データアナリスト
データサイエンティストは、データを解析して、マーケティングの成果を最大化させる仕事や、マーケティングツールのアルゴリズム構築をする仕事です。
PythonやRなどのプログラミング言語を用いて解析したり、統計学や確率論に基づいて分析結果をレポーティングしたりします。
データサイエンティストは希少であるため、高単価なフリーランス案件が多いです。
BtoBマーケティングのフリーランスの仕事
BtoBマーケティングは、企業を対象としたマーケティングのことです。
オンライン上で決済が完結するような商材を扱う場合もありますが、多くが商談獲得に向けた有効な見込み客の獲得が目標となります。
また、BtoCマーケティングでは、広告運用のみの案件もありますが、BtoBマーケティングは、オンライン施策全般(広告、MA活用、コンテンツSEOなど)を担当する案件や、オフライン施策(展示会、セミナーなど)も含めて担当する案件もあるのが異なります。
MA・CRMの導入と運用
MA(マーケティングオートメーション)、CRM(カスタマーリレーションシップマネージメント)の導入や運用改善もBtoBマーケティングの業務となることもあります。
展示会で得た名刺情報や過去のWeb履歴などのデータから、セールスレターの配信計画や、営業リストの抽出などの施策を実施します。
セールスレター企画運営
商材の種類にもよりますが、新しいサービスのマーケティングでは、セールスレターの施策がよく実施されます。
MAやメルマガ配信ツールを使用して、ノウハウやセミナー情報を配信して、新規商談へ繋げていきます。
オウンドメディア企画、コンテンツSEO、ホワイトペーパー企画
BtoBマーケティングではオウンドメディアを運営する企業も増えてきています。
企業の課題解決に関するノウハウやツールの活用方法などをオウンドメディアで配信し、コンテンツSEOや広告で流入したユーザーにホワイトペーパーをダウンロードしてもらい、顧客情報を獲得する手法がよく用いられます
展示会、オンラインセミナー企画運営
BtoBマーケターの仕事に、東京ビッグサイトや幕張メッセなどで開催される大規模な展示会への出展もあります。
最近ですと、オンラインセミナーも一般的になり、参加しやすくなっているため、セミナー企画を含むフリーランス案件にも増えてきています
広告運用
BtoBマーケティングのリスティング広告は、検索キーワードが業界によって専門用語を含むため、業界知識や業界ニーズについて把握する必要があります。
また、CVをホワイトペーパーのダウンロード完了にするケースであれば、広告から記事コンテンツへ誘導させる手法などもあるため、広告以外の施策と合わせて設計する必要があります。
データサイエンティスト、データアナリスト
BtoBマーケティングでは、金融や商社など顧客法人数が多い分野でニーズが高いです。
PythonやRなどのプログラミングスキル、統計学や確率論の知見と、業界のビジネス知識が必要になります。
好条件のフリーランス案件の獲得方法・営業方法
フリーランスの仕事について、職種別に仕事内容、求められるスキル、想定年収、単価について解説してきました。
では、単価が高く、クライアントとの関係性が良いといった好条件の案件は、どのように探すと良いでしょうか?
フリーランスが安定して稼ぐためのコツとしては、「1つの企業に依存しないこと」が大事です。
元々いた企業であれ、大手企業であっても、担当者が異動したり、経営方針が変わったりすることで、契約が終了になることはあります。
下記にあげた方法から自分に合った営業方法を見つけて、安定した報酬を得ることができるフリーランスを目指しましょう。
1.所属していた企業、会社員時代の人脈に営業する
広告代理店やWeb系の仕事の場合は、元々所属していた企業から依頼されるケースがあります。
特に、これまでもフリーランスに仕事を依頼することが定例化している企業であれば、これまでの信頼関係もあり、スキルもわかっているため、依頼されることが期待できるでしょう。
ただし、異動などで担当者が変わった時や、経営方針によって、影響を受けやすいので、常に複数のクライアントとの関係を築くことが大切です。
2.開発会社、制作会社、広告代理店に売り込む
フリーランス(業務委託)を常時募集している企業に問い合わせて、条件が合えば案件を受注するという方法もあります。
Web改善のマーケターであればWeb制作会社、広告運用ができるマーケターであれば広告代理店で業務委託を募集していて、相性が良さそうな企業を探してみると良いでしょう。
3.SNSで発信する
SNSマーケター、PR、広報のフリーランスの場合は、SNSで発信することも有効です。フォロワーの反応やSNSによるトレンドの違いも把握できるので、情報収集にもなります。
企業からの依頼を受けられるように、問い合わせ用のメールアドレスなども記載しておくとよいでしょう。
4.フリーランスエージェントに登録する
企業とフリーランスを仲介するフリーランスエージェントも増加してきました。
データサイエンティストやデジタルマーケターの場合は、エージェントを経由しても高単価の案件があるため、あらかじめ登録しておくと良いでしょう。
リモートに強いエージェント、高単価案件の多いエージェントなど、特徴がありますので、自分の求める条件に合ったフリーランスエージェントを探しましょう。
マーケターにおすすめフリーランスエージェント一覧
最後に職種別、ワークスタイル別におすすめのフリーランスエージェントを一部紹介します。
マーケター、データアナリスト向けのフリーランスエージェント
HiPro Tech(ハイプロ テック)
HiPro Tech(ハイプロ テック)は、パーソルグループのITフリーランサー専門エージェントです。
ユーザーと企業の直接契約により、高額報酬を実現しています。
フルリモート・在宅案件多数で、稼働時間も週3日~5日から自由に選択できるので、自分にあった案件を探すことができます。
BIGDATA NAVI
BIGDATA NAVIは、データエンジニア、データサイエンティスト、マーケターなどの技術者にフリーランスの案件情報を提供するサービスです。
機械学習・AI、IoTといったデータサイエンス領域に特化して、高単価や柔軟な働き方を支援しています。
ITプロバートナーズ
ITプロパートナーズは、IT系のフリーランス案件のエージェントです。開発系の案件が多く、SEOやCVR改善のWebサイトに関係するマーケティングの仕事が多いです。案件数が多いため、週2−3日の案件や一部リモート可能な業務もあります。
Lancers Agent
ランサーズエージェントは、名前にもあるようにランサーズが運営するエージェントサービスです。
Webディレクターのほか、マーケターの案件が多く、90%以上がリモート案件といった特徴があります。
Marketer Agent
マーケティング分野で有名なWACULが運営するフリーランスマーケター向けの案件紹介サービスです。マーケティングに強い企業が仲介するため、案件の詳細把握に強みがあります。
コンテンツSEO、SNSマーケター向けのフリーランスエージェント
Workship
Workshipは株式会社GIGが運営する、エディター、ディレクター、マーケター、人事、広報、財務などのデジタル業界に特化したエージェントサービスです。コンテンツメディア系のマーケター案件が多いです。
AnyCrew
Anycrew(エニクルー)はリファラル型のフリーランス副業マッチングサービス。Facebookのアカウントでログインすると、友達経由で仕事を受けることができます。SNSマーケターや広告運用などの案件が多いです。